永瀬拓矢さんの全戦型対応版永瀬流負けない将棋 レビュー
今回は、本のレビューをしていこうと思う。
その本は、永瀬拓矢さんの全戦型対応版永瀬流負けない将棋だ。
全戦型対応版 永瀬流負けない将棋 (マイナビ将棋BOOKS)
永瀬さんは受け将棋であることが広く知られているが、独特の指しまわしで受けて受けて受けまくり、逆転をしてしまうという印象がある。
その永瀬さんの書籍ということで読んでみたのだが、とても勉強になった。この本の良さというのは、自分と違った感覚、大局観、考え方を知ることができるということだと思う。永瀬さんが対局時、どのように考えて指しているのか、参考になった。
題名で負けない将棋と書かれているが、永瀬ワールド全開の負ける確率を極限まで減らす指しまわしに感動を覚えるような棋譜がたくさん掲載されている。
私たちがこの本を読んだからといって、すぐに同じことができて強くなるかというとそれは違うと思う。あくまでプロ棋士の方の考え方を知るきっかけにはなる程度かもしれない。アマで同じ局面がでることは少ないのでないかと考えている。しかし、この考え方を知ることによって、部分的に似た局面で方針が立てやすくなる、考えやすくなるというのは絶対に言えると思う。
私自身、この感覚を少しでも取り入れようと実戦を指すのだが、この手は永瀬さんが指しそうだなと思うことがある。これは、明らかに自分の今までの感覚とは別の部分が働いてきているといえるだろう。
将棋において本を読んだからすぐ勝てるというのは、定跡が書かれている本で全く同じ展開に進んだ時くらいしかないと思う。しかし、それでは意味がないと思っている。実戦ではほとんど書かれているような局面はでてこない。私たちが見たこともない局面に出会った時にどのように考えるかという時の1つの指針になるのがこの本だと私は考えている。考えるための手助けになるような本だといえるだろう。
この書籍の読み進め方としては、級位者や段位者によっておすすめする読み方が変わってくる。
級位者
プロがどのような思考で考えているのかなど大まかな考え方を理解する。
初段~三段
プロがどのような思考で考えているのかを理解し、未知の局面で実際に永瀬先生がどのように考えるのかを考えながら指しまわす。
高段者
プロがどのような思考で考えているのかを理解し、その感覚を取り入れてみる。自分に合った考え方を身につける。
このような読み方が良いのではないだろうか。あくまで、おすすめというわけであるため、級位者の方が高段者の読み方をしてもかまわないと思うが、少々難しいかもしれないということは考慮した方が良いと思う。
私はこの本を読んで、すくなからず指し回しに影響があったと考えている。最初は、新しい感覚を取り入れた際は負け越してしまうのが当たり前だが、従来の感覚と良い感じ混ざり合うことによって強くなることは間違いないと考えている。